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 殺陣とは?

 

舞台・映像など演劇の場において、戦闘の描写を演出に沿って

時にリアルに、時に様式美をもって表現する演技技法である

 

発祥は歌舞伎からとか、新国劇の殺陣田村によるとか

ここまでが殺陣でここからがアクションだとか

言葉で区切ると様々であるが

 

このページでは、刀を持った演技技法というテーマで

その基本にあたる部分より紹介していく

殺陣にはいる前に

 

時代劇(主に江戸時代もの)において

侍・やくざ・浪人などの戦いの場で必ずと言っていいくらい

使用される武器が 刀 である

 

役作りの基本として

 

侍は教育課程において剣術の稽古を積んでいるものであり

また、日々の勤め柄、礼節・姿勢はきちっとしている

また、浪人はその節度を保っているものから、身持ちを崩した者まで様々

やくざは、特別な例をのぞき、我流剣法の者が多い

 

と、同じ剣術でも演じる役柄によってその立ち振る舞いは違ってくる

だいたいの殺陣の修行においては

基本を崩すのはたやすいが

崩した型から入ると、基本を覚えるのは難しいとされていて、まずは侍の基本から教わる場合が多い

 

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 刀の構え 編

 

剣術の流派や、殺陣の流派によって刀の構え方も様々である。

ここで紹介する構えは郁が学んできたものの中から取捨選択した

郁流の基本の構えであることを了承ください

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正眼の構え

 

正眼とも青眼とも書きます

もっとも基本となる構えで、使用頻度も高いです

切っ先を相手の左目につけるとか、眉間につけるとか

流派によって細かく異なりますが

ここでは切っ先の延長が相手の喉を差す型をとっております

足は右足を前に6:4または7:3の割合で重心を前に

左の拳はへその高さでお腹からこぶし一つから一つ半の間を開けます

前足は相手を向き、後ろ足は斜め45度

前後左右、攻めにも守りにも転じられる位置に身をおきます

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上段の構え

 

左足を一歩前進し、刀を上段に振りかぶった構え

構え以外にも斬り込む前の動作の一貫としても使用します

 

左足を大きく踏み込み重心は8:2とかなり前足寄り

左ひじを張ることで腕の間から相手の姿が見えるように

(客席の位置により肘をはったり閉めたりは臨機応変)

刀は上45度以上は振りかぶらない

(芝居の最中ではかなりの近い間合いで人間が密集します

自分の視界を外で刀を振り回すのは大変危険なことなので、

たとえ後ろに人がいても絶対に当たらない構えをとります)

前足は正眼と同じく相手に向き、後ろ足は斜め45度

下段の構え

 

剣先を下におろし、相手の出方を誘う構え

右足を後ろへ引き、重心は中央よりやや後ろ気味

十分に剣先を下げることで胸部から上段への誘いとする

ここから後ろへもさがれるし、

前進して跳ね上げや抜き胴にもいける心持で

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八双の構え

 

使用頻度の高い構え

いつでも斬り込める攻撃性の高い構えである

剣先はまっすぐ天を向き、刃は正面の相手に向う

右こぶしは番傘を差すように右耳の下辺りに置き

肘は水平に張る(流派によってはしっかりと脇をしめる)

重心は中央におき、腹に力をこめどっかりと構える

あくまで全て基本の構えであり

同じ構えでも役柄によって腰位置や重心は変化をしてくる

主に多人数の殺陣では中央のシン(主役のこと)は腰は高く

周囲のカラミは腰を落とすことで絵的な落差をつけることが多い

 

はじめの稽古の際はできるだけ腰をおとし、

構えから構えに移行する際、腰の高さが上下しないよう心がけ

足の運びの訓練をするのがよいでしょう

 

2008年8月 記す郁彦

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刀の構え 編 其の2

 

剣術の流派や、殺陣の流派によって刀の構え方も様々である。

ここで紹介する構えは郁が学んできたものの中から取捨選択した

郁流の基本の構えであることを了承ください

脇構

 

腰の辺りに手を置き、これから抜き胴に行くという構えです

左右ともにあります

 

ここでは後ろ足重心をとっていますが、

その時の状況により前足にかかる場合もあります

正面から見たときに己の刀身が相手から見えないように
隠しています

前足のつま先・膝はしっかり前を向いています

霞の構え

 

これから突きに行くという構え

切っ先がしっかりとこれから突く場所を狙っています

動きの中で行なう場合は、肩の位置でなく腰の位置

から行ないます

 

突く前と突き終わりの変化を見せるために足、刀ともに

しっかり後ろまで引きます。体重は1:9くらい。

この時点でどの位置をつくのかしっかり方向を定めてな

いと相手役に危険となりますので、よく稽古してください

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柳の構え

 

斜めに刀をあげ、相手の打ち込みを擦り流す

 

足を斜め後ろへ引き、捌きながらこちらの攻撃へと転じる動き

真後ろでなく、斜め後ろへ下がることが大切

変化として、斜め前に入る動きもあり。左右合わせ4方向へ動ける

刀を斜めにし、しっかり頭の高さまであげ、頭部を守る

頭の上にしっかり刀がくるように

(握り手・柄が頭の上にくると相手に刀に斬られ、怪我をします)

今回の3つの構えは立ち回りの動きの間に使用されることの多い構えです

動きと動きの間、適当なところに刀を置かず、先の4つや今回の3つなど

何かの構えに位置に刀を置くとよいでしょう

 

 

2009年5月 記す

郁彦

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